イラストで見る質屋の裏側
 昔の質屋の店内には鉄格子があり、その格子の向こうから親父が顔を出すというのが、一般的でした。現在ではお客様との距離をより近づけるため格子を付けているお店は少ないのですが、それでも最新の防犯装置などで守っているのは、自分の身を守ると言うより、お客様からお預かりした品物を大切にまもるためです。

  1. この中が倉庫です。厚い壁と鋼鉄製のドア、除湿器が備えられて超頑丈です。
  2. FAXは必需品、ニセモノ情報や防犯情報などが毎日送られてきます。
  3. 質屋組合からのポスターです。この業界では組合活動は盛んです。
  4. 防犯装置でどこのお店も守りはバッチリです。
  5. 近頃珍しくなりましたが、昔の質屋にはカウンターを仕切る鉄格子があります。悪い強盗を防ぐと同時に、お客さんからお預かりした品物を守るためです。
  6. 貴金属類の値段を決めるために重さを量る正確な電子はかり、真贋に使うこともあります。
  7. これが、質札です。お取り引きの証明として発行します。
  8. 宝石用の10倍のルーペ。これひとつで何にでも使います。
  9. 近頃パソコンで業務管理するお店が増えています。また、Eメールでニセモノ情報や防犯情報
     などにも活用されています。
  10. 顕微鏡、紫外線分光機などの鑑定器機で、真贋と鑑定はばっちりです。


  管 理
 お客様からお預かりした品物は、当然のことですが一点一点その特徴を台帳に記入した上で専用の袋に入れたり、札を取り付けて管理します。電気製品や時計であればモデルナンバー、シリアル番号や色、特徴などを記載します。そしてこれはあまり言いたくないのですが、「よもやま話」のページで書きましたが、質屋は警察庁の管轄で古物を取り扱う業種の場合取り扱った品物の詳細については所轄警察官の調査に応じなければなりません。所轄の警察官は私達が記入した台帳を定期的に閲覧して、管轄内の窃盗事件の被害品を探すことになるのです。実際に多くの窃盗被害品がこれで見つかり、防犯に役立っています。こうした捜査権については質屋に限らず、古物商やリサイクルショップ、下取りをする大手のカメラや電機量販店でも行われています。

 保 管
 お客様からお預かりした品物は最長で3ヶ月、お利息だけお支払いいただいた場合それ以上質屋の倉庫の中で保管することになります。そのため質屋は強固な倉庫の設置が義務づけられ、この倉庫の構造についても細かい規定が決められているのですが、ただ倉庫の中に放り込んでおけばいいというものではありません。お預かりしている最中に傷が付いたり壊れてしまったりしては大変ですので、質屋としては細心の注意で保管しなくてはなりません。とはいえ宝石から楽器、衣類、精密機械と、品物種類によって保管の仕方は違います。例えば倉庫内は除湿機を使って湿度の管理はしておりますが、ところがオパールなど宝石の一部には湿度が足りないと表面が割れてしまうモノもあります。楽器についても湿度は高すぎても低すぎてもいけません。またルイヴィトンのバッグのヌメ皮の部分は大変焼けやすく、電気の光でもアメ色に焼けてしまいます。そうしたものについては種類ごとに特別な区画を設けて、他の品物と別に保管しています。また、汗をかいたまま身につけられていた貴金属製品などは、そのまま保管すると悪臭の元になるためお客様におことわりした上で、一度洗浄してから保管するようにしています。受け戻しに来られて、あまりに綺麗になっていたので「これは俺のじゃない!」などとおっしゃられ困ったこともあります。

 古物市場の風景
 お客様からお預かりした品物は、期日までにご返済がない場合でも、質屋からお客様にそのお金について催促することはありません。そのかわり、お預かりしておいた品物を売却処分することによって融資金額の弁済に当てます。ではどこで売却するかというと、そのためのいわゆる古物市場という場所があります。横浜市の場合、横浜相模原質屋協同組合という組合が古物市場を運営しています。ここでの取引値段が質屋さんの店頭でのお預かり値段になるわけです。
 上のイラストで左側で腕を組んで心配そうに見守っているのが売り主の質屋さんです。真ん中にいる青いシャツを着ている人が“ナカボン”といって、左手に取った品物を瞬時に値踏みをし、適切な下値とともに“場”に差し出します。場を囲んだ買い手の業者さんは、それを合図にその値段より上の値段を叫びます。その声のなかで一番高い値を付けた買い手がその品物を買うことが出来ます。ところでこのナカボンを10年以上やっているのは岩田質店の岩田治(わたし)です。

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